田村潔司

小学校の頃プロレスに出会った僕達の世代は、

思春期にUWFという夢を確かに見ていた。

あまりにも不安定で、そして美しい夢だったと思う。

その美しさの象徴が田村だった。

その生き方や、かたくなさはミュージシャンでいえば

ポール・ウェラーが近いと思う。

今も田村は現役で、

僕が思春期に見ていたように美しい。

二十年以上、プロレス(いまはほとんど見なくなった)と

格闘技を見てきて一番感動した瞬間も田村の試合だった。

当時、過去の技術として見下されていた

UWFの技術を武器にヘンゾ・グレイシーに判定勝ちしたんだ。

あの時、会場に響き渡ったUWFの入場テーマ。

テレビの前の僕達と、会場のみんな。

すべてが最高だった。

もう一度あの瞬間に立ち会いたくて、

僕は格闘技と田村を見続けている。